離乳の開始、完了の時期について調べていたら、乳糖不耐症について書かれている高校生物の教科書をみつけた。そこには、哺乳動物に本来備わっている離乳機構について以下のように書かれていた。
ヒトを含むほ乳類は、生まれてから乳を飲むしばらくの間は、乳汁中の乳糖を分解するために、乳糖分解酵素(ラクターゼ)という消化酵素が腸で分泌される。
しかし、離乳とともに乳糖分解酵素は必要なくなる。大人の乳糖分解酵素の活性は、乳児の10分の1まで低下するという。そのため、牛乳中の乳糖を分解できず、腸内細菌の乳糖の分解の働きも加わって、下痢、腹痛などの症状を引き起こす。
ところで、なぜ乳中に乳糖が含まれているかといえば、乳糖は離乳調節に関わっているという。ほ乳類では、出産サイクルの調節が巧妙だ。子が一人前になり乳離れすると、乳汁分泌中に抑制されていた排卵が起き、次の子供を妊娠する準備が始まる。子の独り立ちと排卵がリンクされている。
子がいつまでも乳を飲み続けていると、次の子を妊娠できない。そうならないように、乳離れのタイミングに会わせて乳糖分解酵素の酵素活性が低下し、お腹がゴロゴロする不快感でこの乳離れが促されるようになっている。
つまり、この離乳を促す為に、乳糖という特別の糖が乳汁中に含まれるようになっている。
(「よくわかる高校生物の基本と仕組み」より抜粋)
ミルクはもともと生後の一定期間だけ子どもが飲めるようになっていて、離乳の時期は、親が決めるのではなく子供が知っているようだ。
よく耳にする卒乳の話では、タイミングやケアなど、「いつどうやって卒乳させるか?」ということに焦点が当てられている。卒乳を焦る母親が多いためだろう。しかし、この根本の生理機構を知っていれば、些細な事を気にせず、どんと卒乳の時期を待っていられるのではないだろうか。
私自身はUNICEFやWHOが推奨していることもあり、2歳過ぎまで気長に授乳を続け、自然離乳を待ちたいと思っている。